借金が日本はいくらぐらいか?日本が破綻しない理由と今後
たまにテレビで、「日本の借金が1,000兆円を超え、国民一人あたりの借金が833万円を
超えました。怖いことです。」のような報道や情報がありますね。一人あたりの借金が
833万円なんて聞くと、借金まみれのひどい国である、と思ってしまいます。ひと昔前、
2009年あたりにギリシアの国債が大暴落し、失業率も最悪で26.5%程度になるまで落ちて
しまってますから。でも、本当に日本は危機的な財政状況で、借金大国なんでしょうか?
今回は、日本が借金まみれなのか否か、チェックしてみました。
・日本の借金総額
2017年3月時点で、政府の負債総額は1,052兆円ほどです。仮に、国民1億2,700万人とした場合、
単純に人口で割ると828万円となります。特に2012年の安倍政権以降は、通称「アベノミクス」
という「3本の矢」政策、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、
の中の機動的な財政政策によって、建設国債の買い入れを積み増していっています。
国債をどんどん発行していくということは、国の借金を増やしているということなんで、
そう言われてみれば借金大国だな~という思いもなくはないです。ただ、同時に金融政策によって
円もどんどん発行して円の価値が下がり、市中銀行の金利が下がって、民間や個人の借り入れもしやすく
なっていますから、借り入れをして不動産に投資する個人・企業が増えました。ということは売上が
増えていっているということで、景気が上向いているということです。
ところで、不動産投資が増えている現在のことをいいますと、2017年の日本は「プチバブルではないか」
と言われています。バブルとは「バブル経済」の略ですが、商行為の実態が伴わない株価や不動産価格の
上昇などを取り上げて、こう言います。特に土地・建物である不動産価格の上昇とは、国土が増えているわけでも
ないのに、需要と供給の関係で価格が上がることがありますから、土地・建物の需要が高まれば
不動産価格は上昇するし、(買った&売ったの)取り引きが増えれば、なおさら不動産価格は上昇が基調と
なります。一般的な消費財、例えば食料品や建築材、生活雑貨などの売上が増えれば実態が伴って
いると言えますが、不動産の取引はバブルと言えます。
・バランスシート(貸借対照表)の見方でただの「借金大国」とはいえない
よく「日本は借金まみれだ!」みたいな議論にもっていく場合、借金(負債)の部分だけが極端に
取り上げられがちで、買ったもの(資産)の側を説明が抜けがちです。例えば、
100万円の自動車を買うとしましょう。10万円を頭金に90万円をローン組んで買ったとすると、
90万円のローン(負債)もある代わりに、100万円の自動車(資産)が手に入るわけです。バランスシートで表すと、
資産 | 負債 |
---|---|
自動車 / 100万円 | 自動車ローン / 90万円 |
自己資金 / 10万円 | |
総額100万円 | 総額100万円 |
ということになりますから、負債はそれ単独で語ることは「片手落ち」ということになります。
これを日本の国債で表すと、日本の負債は1,052兆円ではありますが、それと同時に国債という資産が
同額程度あるわけですよね。これを単純に表すと下の表になります。
資産 | 負債 |
---|---|
国債 / 1,052兆円 | 借入 / 1,052兆円 |
つまり、借金とは、それ単独では語れないということの証左なのです。
・日本と他国の違い
さらに、日本の国債は比較的に安定的に運営されています。近年の国債格付けこそ下がっては来ていますが、
それは国際的に見て、つまり借金総額によるところが大きいです。日本の特殊な事情に、日本国債は持っている先が、
日本人の個人と日本企業が大半だ、ということがあります。
参考:http://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf
上のグラフを見ると、海外は数パーセントで、要するに海外に国債を大量に握られている状況には
ないわけです。15年で外国投資家の比率は101兆円で、およそ9.8%。
一方、外国債はどうかといいますと、アメリカ国債は発行額は24兆ドル超(約2,000兆円超)で、
うち日本はアメリカ国債の保有2位の1兆900億ドル(約123兆1,700億円)で、一位は中国が
1兆1,500億ドル(約127兆円)という感じなので、この2国だけで米国債の10%ほどは持っていて、
以下、アイルランド2,706億ドル(約27兆5,524億円)、ケイマン諸島2,694億ドル(約27兆4,303億円)、
ブラジル2,516億ドル(約25兆6,179億円)など、外国政府の持っている割合が非常に多いです。
他にも、日本は対外純資産が多額に上り、日本の政府や企業、個人が持つ資産から負債を引いた
「対外純資産」が、2016年末時点で世界1位の349兆円あり、そういった点も他国に比べて信用が高く、
今後も比較的安泰と見られます。2位は中国で約210兆円、3位はドイツの209兆円となります。